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M2Mやスマートメータ用の新しい周波数920MHz帯の特長、アプリケーション

  • 2012.10.31
M2Mセンサネットワーク、環境監視やIEEE 802.15.4gスマートメータに最適な920MHz帯の特長とアプリケーションを最適化するUSBタイプのスペアナ

920MHz帯センサネットワークおよびスマートメータ用の新しい周波数が2012年7月に解禁されました。当初、センサネットワークやスマートメータの新しいアプリケーションとしての無線周波数帯は、"950MHz帯"が割当てられました。しかし、国際協調、国際競争力の強化の観点から総務省は、2012年7月25日から新たに"920MHz帯(日本では915.9~929.7MHzを使用する周波数帯)"を解禁しました。920MHz帯は、プラチナバンドやゴールデンバンドとも呼ばれ2.4G帯より到達性が良く、430MHzより高速伝送が可能なバランスの優れた周波数帯です。

今回920MHzへの周波数移行がされたことにより、M2Mセンサネットワークや今話題のスマートメータ(スマートメータ用国際標準規格「IEEE 802.15.4g」に準拠する周波数帯の確保)の通信方式として様々な分野に新しいビジネスチャンスが生まれることへの期待が高まろうとしています。現在、あらゆる業種でスマートハウスやスマートグリッドをめぐる環境が目まぐるしい展開を始めています。特に、スマートハウスの中心的な構成要素であるスマートメータ、HEMS、BEMSといったアプリケーションや環境監視に関する新しい動きがますます活発化しています。その中で920MHzを使ったZigBeeセンサは、殆どバッテリ駆動式となると予想されています。大半のセンサは、スモールフォームファクタになるため当然バッテリサイズも消費電量も小さくする必要がありここで920MHz ZigBeeが脚光を浴びています。

ところで、920MHz帯の使用を含め、M2Mのグローバル市場は、過去10年間以上にわたり確立されたGSMベースから現在、LTE接続の強力な増大が予想される高速ネットワークの可用性を組み合わせた新しいモバイルデバイス、アプリケーション、サービスおよびプロバイダによって牽引される急速に加速した新しい態勢のM2M市場へ移行しています。需要は、組込モバイル市場の高い成長サイクルを形成するために必要とする政府の政策と資金調達に裏打ちされたスマートエネルギ監視、高度交通管制および環境監視といったモバイルM2Mを含めてM2Mアプリケーションに多く使われています。 Infonetics ResearchによるとモバイルM2Mのグローバル市場は、2014までに4.28億ドルに達すると予測しています。

920MHz帯の特長
信頼性 :
他のワイヤレスシステムや機械等による雑音の電波干渉* が少なく、信頼性の高いシステムを実現可能。特にWi-Fiの2.4GHz帯と比べると大きな差がある。
到達性 :
電波の回り込み特性が大きく、通信距離も長いことから、障害物が多い場所への適用が可能。特にWi-Fiの2.4GHz帯との比較。
即応性 :
従来の小電力無線システムに対し、高速化が図れることによりシステム適用範囲の幅が広がる。また、短時間でのデータ伝送により、省電力化が可能。特にZigBeeの方式は立ち上がり時間が極端に短い。
低価格化 :
従来の小電力無線システムに対し、規格が簡略化されることにより、開発・製造コストの低減を図ることができる。
* 電波干渉とは?
電波は、現在、様々なシーンで数多く使用されていますが、それに伴う弊害も出ています。例えば、思ったような通信スピードが出ない、場所によって、または時間帯によって通信状況が変化する等、安定した通信ができないケースが多く見かけられます。電波は、目に見えないこともあり、これらの原因を追究・解決することは容易ではありません。この「原因追究」を担うツールとして Wi-Spy 900x USBスペクトラムアナライザを使用することにより電波をPC上で見ることができます。
期待されるアプリケーション
メータ自動検針...スマートグリッド
集合住宅や地域の水道、ガス、電気などのメータに取り付けた小電力無線システムがネットワークを構成し、検針した情報をセンタへリモート通知する。また、異常時にセンタからの緊急制御などにも対応する。地中に設置された水道メータや、集合住宅でパイプシャフト内に設置されたメータを自動検針する場合は、電波到達性確保のため高出力での利用が期待されている。
ホーム/ビルの施設制御(HEMS/BEMS)
家庭やオフィスの空調システムや照明システムを高度化するために、温度センサ、空調風量・風向制御器、照明の明るさ制御器などで、ネットワークを構成し、状況に応じた温度調節や運用休止などを行う。
ホームセキュリティ
家庭のセキュリティを向上させるために、例えば、火災報知機などの防災向けセンサや、窓開閉センサなどの侵入検知センサが家庭内でネットワークを構成し異常を検知したときに、ホームゲートウェイや電話回線経由で外部に通知する。
環境監視
大気汚染の濃度や花粉量を測定し、地域住民に対する警告を自動で送信。また、各地に取り付けた温度や照度、地震計、水位計などの自然環境測定データから、天気予報や地震、洪水などの自然災害への対応にも利用する。
工場内制御、監視
工場内の大型機械やラインの動作状況、粉塵量、排出物質の安全性などを監視することで、工場の安全かつ効率的な運用を行う。また、流通における物品管理も行う。工場内では、大型機械装置など電波透過性の低い障害物が多く存在することから、電波到達性確保のため高出力での利用が期待されている。
水道管の漏水検知
水道管に振動センサを取り付け微妙な振動の違いにより漏水を検知して送信することで漏水による水道水の無駄をなくす。
危険地区進入管理(ビーコンモード等)
工事現場等危険区域にリーダ/ライタ等を設置し、タグを携行した人・物がエリアに侵入したことを検知し、システム側へ情報を提供する。
児童や高齢者の安全・安心、健康管理
通学中の児童や散歩中の高齢者が携帯する短距離無線通信システムの携帯ノードと、街中に設置された固定ノードがネットワークを構成し、位置管理などを行うと共に交通事故防止や道案内などを行う。また、ジョギングなどスポーツ中に生体センサからの情報を統計処理することで、健康管理などを行う。
病院内管理
病院内の医者や看護師、患者の行動を把握することで、院内の事故を防いだり発作などを早期発見したりする。また、院内で共有する可搬測定機器の管理などにも利用する。
児童登下校サポート(ビーコンモード等)
児童のランドセル等にアクティブタグを取り付け、学校や街中に設置されたリーダ/ライタ等で読み取ることにより「何時、何処にいたか」等の所在情報を管理し、必要に応じて所在情報を予め登録された保護者等へ通知する。
商店街安全サポート(ビーコンモード等)
商店街の従業員等がタグを携行し、商店街の自動販売機等にリーダを設置する。これにより、商店街において異常事態が発生した場合、リーダからの呼び出しを行い、即時に警備会社に通報することができる。警備会社では、通報者、場所を特定することにより、現場到着までの時間を短縮でき、被害の拡大を抑えることができる。
危険地区進入管理(ビーコンモード等)
工事現場等危険区域にリーダ/ライタ等を設置し、タグを携行した人・物がエリアに侵入したことを検知し、システム側へ情報を提供する。
固定資産管理(センサモード等)
固定資産物にタグを貼付し、物の存在情報を定期的に自らまたはリーダ/ライタ等からの呼び出しにより、所在を通知する。
高額商品管理(センサモード等)
美術館等において高額展示物にアクティブタグを貼付し、物が動かされた際に振動を検知し、振動センサからのトリガにより通知する。
車両・車庫管理(マスター・スレーブモード等)
車両にタグを設置し、駐車場・車庫の出入口にリーダを設置する。車両の接近を自動的に検知し、出入ゲートの開閉や出入情報を自動的に把握する。また、広大な駐車場では駐車位置の同定も行う。
工程管理(マスター・スレーブモード等)
アクティブタグに格納された情報によって工場内の各工程へ製造指示を行い、生産情報を収集する。これにより、情報伝達の信頼性の向上、情報収集コストの削減を図り、生産性の向上に寄与する。
920MHz帯電波状況を把握するためのUSBタイプスペクトラムアナライザ

M2Mおよびスマートメータ用通信をカバーする930 MHz帯まで拡大した周波数を把握するために新たに登場したWi-Spy 900xは、従来のWi-Spyシリーズスペクトラムアナライザと同様にセットアップが簡単かつ迅速にできるのでノートPCのUSBポートにセットすれば開発部門での920MHz帯のM2Mセンサネットワークやスマートメータの開発だけでなく実際に920MHz帯を使用する現場での電波伝搬状況の測定、電波干渉などに必要なデータのスペクトルが可視化可能となり高価なプロ用の高価なスペアナを必要としません。

また、Wi-Spy 900xには、MetaGeekのChanalyzer Labソフトウェアが標準でバンドルされています。このためRFID、オートメーション、センサネットワーク、スマートメータ、テレメータ、テレコントロールなどの920MHz周波数帯で運用するワイヤレス製品の電波状況を把握するために必要とする各種の設定が容易にできるユニークな機能をサポートしています。

"あなたには920MHzの電波が見えますか?"
お手軽なサイトサーベイ用USBスペクトラムアナライザWi-Spy 900x

2.4GHz帯のようにWi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなどが混在して使用されているために電波干渉を受けやすい帯域と異なり920MHz帯は、電波の到達性、信頼性の高さから、センサネットワーク、M2M、スマートメータでの利用が期待されています。特に新開発のWi-Spy 900xは、スマートメータの国際標準規格「IEEE 802.15.4g」に準拠する周波数帯を意識して862 MHz~930MHzの帯域をカバーしています。また、HEMS、BEMSといったアプリケーションや環境監視のために広域に配備された設備の監視および制御をワイヤレスで実現するネットワークシステムでは、電波の伝播状況、分布状況を安易な方法で把握する必要があります。従来、機器設置の現場で電波の広がりや干渉を確認する際には、高額なスペクトラムアナライザを使用するしかありませんでした。ZigBeeを含め、ワイヤレス通信に期待される主な導入メリットとして、低コストで通信網を構築できる点が挙げられますが、ワイヤレス環境の調査時の設備費用に多額のコストが発生しては本末転倒となります。Wi-Spy 900xは、ノートPCなどがあれば、どなたでも手軽に調査や報告が行える、低価格な920MHz専用のUSBスペクトラムアナライザです。

仕様
型番 Wi-Spy 900x(0900x2v)
アンテナ 外付け、コネクタ形状: RP-SMA
受信可能帯域 862 MHz ~ 930MHz
周波数分解能 24 ~ 375KHz
帯域分解能 53.571 ~ 750KHzKHz
強度 -105 ~ -6.5dBm
強度分解能 0.5dBm
スイープタイム 370msec