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最適化された産業用イーサネットネットワークでノンストップIP監視を実現

  • 2015.07.29
ホワイトペーパー「最適化された産業用イーサネットネットワークでノンストップIP監視を実現」

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"ミッションクリティカル" という言葉は、もし不安定動作や伝送問題が発生した場合、機器や設備の深刻な損傷のみならず、怪我や人命にかかわる重大なダメージをもたらす可能性のあるネットワークを指すものであり、軽々しく扱うべきではありません。近年、ビデオ監視システムは、世界中のミッションクリティカルなインフラストラクチャの信頼性と安全性を確保する上で、ますます重要な役割を果たしています。

技術情報:最適化された産業用イーサネットネットワークでノンストップIP監視を実現

"ミッションクリティカルなインフラストラクチャ" という言葉で、何を思い浮かべますか?

経歴や経験などによって、石油と天然ガスの生産分野、鉄道駅の監視システム、発電所、あるいは高速道路の交通システムなどを考えるかもしれません。この "ミッションクリティカル" という言葉は、もし不安定動作や伝送問題が発生した場合、機器や設備の深刻な損傷のみならず、怪我や人命にかかわる重大なダメージをもたらす可能性のあるネットワークを指すものであり、軽々しく扱うべきではありません。近年、ビデオ監視システムは、世界中のミッションクリティカルなインフラストラクチャの信頼性と安全性を確保する上で、ますます重要な役割を果たしています。

ビデオ監視は現在、ミッションクリティカルな産業インフラの標準となりました

ビデオ監視システムは、大勢の警備員を雇用して各所の管理局に配備する代わりに、「映像」を使用して、セキュリティ担当者が中央部から施設全体や個々の設備の状況を24時間対応・週7日体制で監視することが可能です。監視システムは決して新しい技術ではありませんが、近年では、それらの実装方法に大きな変化があります。基本システムでは単純に、ハードディスクドライブ内に全映像を保存して、将来的に分析の必要性が生じる可能性に備えます。しかし、より高度なシステムでは、非常に洗練された機能をサポートするインテリジェントカメラを使用し、重要な場所での状況変化(例えば、空港で誰かが荷物を放置する)を認識したり、対象物の特定の形を識別します。 ビデオ監視システムは今や、リアルタイムイベント監視や、分析用の映像ライブラリを備えた、あらゆるタイプのミッションクリティカルな設備にとって不可欠な標準システムであることは言うまでもありません。

IHSが2014年に発行したホワイトペーパー「Video Surveillance & Storage:Opportunities at the Intersection of IT and Physical Security 」(ビデオ監視と記憶装置:ITと物理的セキュリティの接点における機会) によると、監視市場は2013年から2018年の間に14.8%のCAGR(年平均成長率)が見込まれ、2018年までには、市場全体で256億USドルの収益に達すると予想されています。ネットワークビデオ監視機器は、従来のアナログビデオ監視機器を淘汰して市場シェアの大部分を占めると予想されます。例として、2013年の湾岸地域最大のガス生産プロジェクトでは、カメラ監視システムだけで80万ユーロを費やしました。

IPベースのビデオ監視ネットワーク設計の課題

一般商用グレードのビデオ監視システムは、スーパーマーケット、オフィス、学校などを始め多くの公共施設で使用されます。しかし、ミッションクリティカルな産業用アプリケーションにビデオ監視システムをインストールする場合、次の問題に特別な注意を払う必要があります:

データ伝送とビデオ伝送の比較

ビデオストリーム伝送には、基本的なデータ伝送では考慮の必要がないような特有の課題が伴います。IPパケットレベルでは、データと映像は、大規模な高速データ伝送を保証するために同一のTCP/IP技術を使用します。しかし、アプリケーションレベルでは、ビデオ監視は通常、複数のデバイス間でネットワークアクセスの構築と管理が必要となります。例えば、異なる制御室で動作するNVR(ネットワークビデオレコーダ) と VMS(ビデオ管理システム) で、同一のビデオストリームの保存と表示を同時に行い、さらに、CMS(中央管理システム) では、ビデオストリームからの映像を大型液晶画面に表示させたいという場合があったとします。このような場合、IPカメラは通常、ビデオストリームを個別に送信する必要があります。以下に示す 特定のケースでは、インターネット経由で3つのビデオストリームを送信するためにIPカメラが必要とされます。

カメラの台数が増えるにつれ、同一のネットワークを介して非常に多くのビデオストリームを伝送する必要があるため、バックボーンネットワークの帯域幅の膨大な量を占有します。これら全てのビデオストリームが使用する帯域幅の量を削減するために、通常、"マルチキャスト" タイプのビデオストリームを構成します。マルチキャストとは、各IPカメラが一度ビデオストリーム伝送すれば、イーサネットスイッチを使用して、同じデータを自動的に複製して複数の受信機に転送する方法です。
次の図は、ユニキャストとマルチキャスト設定の帯域幅要件の違いを示しています。ご覧のとおり、マルチキャスト設定を使用すれば、ネットワーク全体の帯域幅の消費量を目覚ましく削減することができます。

マルチキャストストリーミングがいかに帯域幅消費を削減できるかを説明するため、実際のプロジェクトでは、400台のHD IPカメラと20台のビデオクライアントを使用しました。ユニキャストベースの伝送設定をした場合、カメラとビデオクライアントが最大46,000Mbpsも消費してしまうことが分かりました。一方、マルチキャストストリーミング設定時には、帯域幅消費はたったの2,000Mbpsに下がりました。

データ伝送における冗長性の欠如

多くのCCTV監視ネットワークは、ネットワークに接続された多くのIPカメラの接続や拡張のために  "スター" または "デイジーチェーン" トポロジを使用しています。しかし、スタートポロジは、単一障害点から回復できない設計になっているので、1つのネットワークケーブルが切断、もしくはネットワークデバイスがクラッシュしただけでも、単一障害点により、膨大な数のビデオストリームの中断に繋がる可能性があります。ゆえに、複数のイーサネットポートやケーブルを1つの伝送パスに集約する "ポートトランキング" 技術の使用を推奨する設計者もいます。この場合、1本のケーブルが切断されても、ビデオデータは他のポートやケーブルを介して伝送を続けます。ただし、この設計は、フィールドでの停電によるイーサネットスイッチの停止のような単一ノード障害によるデータ伝送の中断を防ぐことはできません。

ネットワーク管理の効率

ネットワークの規模が拡大するに伴い、ネットワークや、ネットワーク機器の状態監視と管理を行うネットワークマネジメントソフトウェアの必要性を感じるでしょう。経験的に、シングル(または拡張)ネットワーク上に50台以上のイーサネットスイッチを接続する場合、管理に費やす時間を大幅に削減することができるNMS (Network Management Software) の採用を考慮すべきです。しかし、ビデオ監視ネットワークのNMSを選択する際に考慮すべき機能が3つあります。

リアルタイム監視:

NMSはどのくらいの速さで、多くのネットワークデバイスからアラームを受信し、表示することができるでしょうか? 多くの企業のNMSは、各ネットワークデバイスのステータス確認のため、従来からある "ポーリング" 方式を用いています。ただし、ポーリング方式では、ネットワークに多くのデバイスを追加するにつれ、アラームがトリガされてからNMSがセキュリティ担当者に通知するまでの時間が増加します。優れた産業グレードのNMSは、アラームがトリガされると直ちにセキュリティ担当者が受信できることを保証するため、"プッシュ"  または "アクティブ" 方式を使用します。この方式では、フィールド内のデバイスを継続的にポーリングするNMSを使用する代わりに、ネットワークのリモート部分に設置されたスイッチが、近くのデバイスによって生成されたアラームを感知し、直ちに中央のNMSに送信します。

可視化:

ネットワークのアラートが画面上に表示されたとき、いかに迅速に根本的な原因を突き止めることができるでしょうか? 例えば、アラートがトリガされたときにNMSは、IPカメラ、ネットワークデバイス、ケーブルのどこに問題がありそうかということを判断できますか? そして、もしケーブルに問題があった場合、どのデバイスのどのポートに接続されているかを、容易に確認できますか? 優れた設計の産業グレードのNMSは、現場のオペレータやメンテナンスエンジニアの日常作業を、より簡単で正確なものにします。

インテグレーション:

IPカメラなどの端末機器が機能しているか否かをNMSが判断し、制御室にある高レベルな中央管理システムに重要な情報を提供するため、インテリジェントシステムは、近隣システム統合とメッセージ交換に依存します。しかし、従来のネットワーク管理システムは、イーサネットスイッチやルータなどのネットワークデバイス自体に焦点を当てています。一般的には、従来のネットワーク管理システムはメッセージ交換やサードパーティ製デバイスの監視をサポートする機能を備えていません。

信頼性の高い監視ネットワークをサポートするMoxaのソリューション

ビデオ監視は、公共の安全を強化すると共に、産業施設の安全性の保証に大いに貢献します。もし、緊急時の混乱の最中、IP監視ネットワークが画像配信に失敗すれば、あっという間に重要な画像を失ってしまいます。Moxaは、監視ネットワークにおける映像損失の回避を保証する、以下の製品を提供します:

  • 包括的な拡張性を提供する、幅広い種類の10GbE、GbE、802.11n、およびPoE+の製品群
  • ネットワークに高い信頼性と柔軟性を提供するTurbo Ring/Turbo Chainトポロジと、ビデオストリームの復旧を最適化する超高速冗長技術
  • 高速ネットワークの導入と容易なイベントトラッキングをサポートする産業用グレードのネットワークマネージメントスイート「MXStudio」