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Ekahau ソリューション

大容量Wi-Fi ネットワークの設計について

  • 2016.07.15
チャネル重複を最少にする

Wi-Fiネットワークは、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数を使用します。それぞれの周波数には干渉無しで使えるチャネルが何個かあります。アメリカでは、2.4GHz帯に3チャネル、5GHz帯には20以上の干渉無しのチャネルがありますが、レーダーシステムからの干渉といったものが原因でチャネル全部を利用できるわけではありません(図3)。

図3:アメリカにおける5GHz帯チャネルの割り当て ©Andrew Von Nagy / Revolution Wi-Fi Blog

多くのWi-Fiアクセスポイントは、同時に使える2つの無線機を持っています。1つは2. 4GHz帯、もう1つは5GHz帯です(新しいアクセスポイントの中には5GHz帯で二重運用ができるものもあります)。

モバイル用のWi-Fiデバイスは、2.4GHz帯と5GHz帯をサポートしているのが普通ですが、一度に運用できるのはその内の1つだけです。多くのネットワークが2.4GHz帯をまったく利用できなくならないように、古いデバイスと同様にIoTデバイスも2.4GHz帯だけをサポートしています。

2.4GHz帯はサポートが必要ですし、干渉しないチャネルは3つしかありませんので、ネットワークのパフォーマンスを高くしようとする場合、チャネルプラン作成は少し骨のある仕事です。5GHz帯に20余りあるチャネルは、レーダーや他のネットワーク、非Wi-Fi機器からの干渉や、旧式デバイスのサポート、特に広帯域チャネル利用(アクセスポイントが2台、あるいは4台分のチャネルを使用するもの)のために、しばしば少なくなってしまうことがあります。

ネットワークは、チャネルの重複が最小となるように設計すべきです。つまり、理想的には、すべての場所で、例えば「チャネル1」を使うアクセスポイントを1台だけにするということです。これは簡単そうに聞こえますが、使えるチャネルは3つしかなく、近くには他のネットワークもあり、非Wi-Fi機器からの干渉もあるとなると難しくなります。分厚い壁や隣り合ったオープンスペースがあるような複数階の建物ではさらに難しくなります。

同一チャネル干渉を避ける鍵は、到達範囲設計との関連でチャネル割り当てと送信電力設定に注意することです。到達範囲を決めたら(これは最新のツールを使えば簡単です)チャネル重複が最小となるように、チャネル設定の微調整と同様に、アクセスポイントの配置や送信電力の微調整を始めます。

また、屋内環境でチャネル重複を避けるための方法は、大ざっぱに言えば、廊下ではなく部屋の中にアクセスポイントを設置することです。こうすれば、壁による減衰がアクセスポイントの到達範囲を狭くし、チャネル重複の機会を少なくします(図4)。

図4:廊下に置かれたAPとすべての2.4GHz無線機が動作して引き起こした同一チャネル干渉

5GHz帯では、IEEE 802.11n規格が従来の20MHz幅のチャネルのオプションとして40MHz幅のチャネルを導入しました。802.11ac規格は80MHz幅、さらには160MHz幅のチャネルを導入しました。発想は単純です。帯域幅を倍にするとネットワークのスループットが倍になります。ところが、注意して使わないと広帯域チャネルは重大なチャネル重複を引き起こしてしまいます。5GHz帯でさえ、スループットを増大するどころか減少させてしまいます。ネットワークが混みあった場所では、しばしば20MHz幅が推奨されます。40MHz幅は一般的になりつつありますが、80MHz幅は選択的に使用されています。2.4GHzを使う企業の無線LAN(WLAN)では、40MHz幅を使用すべきではありません。

5GHz帯で使用できるWi-Fiチャネルには、クライアントデバイスのサポートとレーダーの2つの制限要素があります。

Wi-Fiとレーダーがスペクトラムを分け合うためのメカニズムであるDFSを導入してください。アクセスポイントが52~144のどれかのチャネルを使用している場合は、レーダーの運用状況を監視することが必須となります。レーダー波を検出したら、アクセスポイントはデータの送信を停止して他のチャネルに切り替えなければなりません。一方、クライアントデバイスを見ると、特に古いクライアントデバイスは、デバイスメーカーがいわゆるDFSチャネルをサポートしていないことがあります。特に屋外でWi-Fiを導入する時には、アクセスポイントのDFSサポートだけでなく、クライアントデバイスのチャネル制限においても、Wi-Fiチャネル割り当てに特段の注意が必要になります。

通常のアクセスポイントは2.4GHz帯と5GHz帯の無線機を持っており、5GHz帯には干渉しないチャネルが数倍あるため、2.4GHz帯の無線機を止めないで、2.4GHz帯の満足できるチャネルプランを見つけることはできなくなっています。妙な話に聞こえるかもしれませんが、チャネル重複を最小とするために2.4GHz帯の無線機を止めると実際に通信容量が増えます。