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製品・技術情報

初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第4章 さらなる理解へ

ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。

4-2) 発振器

発振器は、電波として発射する高周波を発生させる時の基本となります。その周波数精度や周波数安定度が非常に重要です。送信設備によっては、温度、湿度、振動、経年変化を含めて安定度は1ppm程度、又はそれ以上要求される場合があります。1ppmは、1/1000000(1x10-6)を現わし0.0001%を意味します。

送信機の周波数が不安定な場合、それを受信する受信機は電波の周波数の変化に合わせて追いかける必要が出てきて大変なことになります。また割り当てられている他の電波に妨害を与える等、悪影響をもたらします。

安価な発振器は、コイルやコンデンサで構成されますが、周波数精度や安定度は非常に劣ります。一方では安価で比較的性能の良い発振器に相当するもので、家庭で使用する50Hz / 60Hzの商用電源があります。一般的に安定な発振器には、クリスタル(水晶)を使用し、具体的には、携帯電話、パソコン、腕時計、無線装置等に使用されています。ただし最近の時計には、電波時計と称して標準電波(非常に正確な発振器をもつ送信機で、日本では現在二カ所存在します。)を使用するものが増えてきており、誤差は年間を通しても一秒以下になります。精度や安定性の面から言えば、最近GPSは、電波時計に劣らず比較的安価で非常に高性能の時計となります。

水晶発振器
水晶の結晶

さらに安定度が必要な場合には、原子時計として、ルビジウム、セシウム、水素メーザ発振器等が使用されます。安定度はそれぞれ、約10-11、10-12、10-13 となり、水晶発振器と比べて何桁も性能が上がります。
これらの具体的な用途の例として、高い安定度と精度が要求されるGPSの送信機には、セシウムとルビジウムの周波数標準器を用いており、安定度は、10-13 程度です。