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初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第4章 さらなる理解へ

ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。

4-6) dB(デシベル)とは

デシベルとは、信号の電力比を対数で表す単位である「ベル(bel)」の1/10の単位です。ベルは電話機の発明者グラハム・ベル(Graham Bell)の名から取った単位ですが、デシ(deci)は1/10を意味する接頭語です。身近な言葉として、例えば10dl(デシリットル)がありますが、1000mlや1lを意味します。音の強さや電気回路の増幅度、減衰量などの表現に用いられる無次元の単位です。

式で現わしますと
電力比(dB) = 10×log(倍率)
です。

倍率(比) 電力比 倍率(比) 電力比
1 0dB 1/1 0dB
10 10dB 1/10 -10dB
100 20dB 1/100 -20dB
1000 30dB 1/1000 -30dB
10000 40dB 1/10000 -40dB
100000 50dB 1/100000 -50dB
1000000 60dB 1/1000000 -60dB
1 0dB 1/1 0dB
2 3.01dB 1/2 -3.01dB
3 4.77dB 1/3 -4.77dB
4 6.02dB 1/4 -6.02dB
5 6.99dB 1/5 -6.99dB
6 7.78dB 1/6 -7.78dB
7 8.45dB 1/7 -8.45dB
8 9.03dB 1/8 -9.03dB
9 9.54dB 1/9 -9.54dB

物理量を数字で現わすと数値の幅(桁数)が非常に大きく異なります。例えば無線LANで扱う場合のノイズの電力は、-90dBm(この単位は後で説明します)程度で、これを通常の数字で現わすと0.000000000001Wとなり、これを通常の数字で伝えると間違いが起こり易く、また大筋の値を直感的に把握するのが困難です。これをdB表示にしますと大筋の数値が一目で分かり、大きな取り違いも減ります。又電子機器やケーブルを何段か接続しますと、増幅が必要だったり、減衰が発生したりします。これらは全て何倍、何分の一倍の計算が必要になりますが、dBで現わすと足し算、引き算で済みますので暗算で出来るようになります。これを使える技術者にとっては、非常に便利な単位です。

上表を見ますと、例えば50dBは、100000倍のことで、50dBの5は、100000の0の数を、すなわち桁数を示しています。このことから桁数が一目瞭然となります。また表の下の部分は、一桁内の数字の整数に関する変換値です。

(ここからは、興味のある方への参考説明です。)

上の表で重要な数字を赤で示していますが、例えば2は、約3dBです。4は4 = 22ですのでこれを対数で示すと10×log4 = 10×log22 = 2×10×log2となり、2のdB表示3dBの2倍になりますので、6dBとなります。同様に8 = 23ですので、3dBの3倍で9dBとなります。また5は、10/2ですので、10×log(10/2) = 10×log10 - 10×log2となり、dBで計算すると10dB - 3dB = 7dBとなります。この様に「2は、約3dBである」ことを覚えておけば、赤字の部分は暗算が可能となります。

赤字以外の3、6、7、9をどのように計算すればいいのかのヒントを、参考として以下に示しますので理解を深めるためお試し下さい。92 = 81≒80から9のdB値が計算できます。すなわち 2×10×log9≒10×log80 = 10×log8 + 10×log10、2×10×log9 = 9dB + 10dB = 19dB、これより9は19/2で約9.5dBとなります。32= 9より3は、約9.5 / 2 = 4.75dBと計算出来ます。また72 = 49≒50から7のdB値は計算可能です。残りは6ですが、6 = 2×3から計算が可能です。

次に例として、17dBは、倍率はいくつかといいますと、17dB = 20dB - 3dBを利用して、20dBが100、-3dBは1/2ですので、これで演算しますと
100 / 2 = 50となります。この様に値によっては概算の変換が可能になります。