ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。
「ケーブルの特性インピーダンス」の項目で説明しましたように、ケーブルには、浮遊キャパシタンスと浮遊インダクタンス、及び、直流の場合でも存在する実際の抵抗があります。また、現実を考えますと、浮遊キャパシタンスにも浮遊インダクタンスの中にも損失となる実抵抗分が存在し、インピーダンスのミスマッチングによる損失(反射)以外にも、いわゆる実抵抗分による損失(実際の損失)も発生します。この実抵抗分は、現実的には材料の品質を上げれば減らせますが、理想的な材料は存在しませんので、完全には防ぎようがありません。もう一方の接続部分のミスマッチ(インピーダンスの不整合)は減らすことが可能で、これはすなわちインピーダンスを合わせる様に心がける必要があります。
インピーダンスの整合が取れている場合の10m当たりの基本的な減衰量の例を以下の表に示します。
*PE充填タイプ
減衰量(dB/10m)\型名 | 3D-2V | 5D-2V | 8D-2V | 10D-2V |
---|---|---|---|---|
30MHz | 0.77 | 0.44 | 0.3 | 0.22 |
50MHz | 0.99 | 0.6 | 0.4 | 0.31 |
145MHz | 1.71 | 1.05 | 0.72 | 0.56 |
430MHz | 2.99 | 1.85 | 1.35 | 1.05 |
900MHz | 4.47 | 3.0 | 2.15 | 1.7 |
1200MHz | 5.20 | 3.5 | 2.6 | 2.1 |
1300MHz | 5.43 | 3.7 | 2.7 | 2.15 |
2300MHz | ― | 5.3 | 3.9 | 3.2 |
ケーブル外径(mm) | 5.3 | 7.5 | 11.5 | 13.7 |
この表からは、周波数が上がれば減衰量は増え、ケーブルが太いほど減衰量は軽減することが分かります。一般的にケーブルに使用されている材質は、周波数が上がるにつれて各種特性が悪化し損失が増える傾向にあります。また直流の場合もそうですが、ケーブルは太いほうが抵抗分は低くなります。この表は一例に過ぎませんが、もっと減衰量の少ないケーブルも製品として存在しますので、用途に応じて選ぶ必要があります。
同軸ケーブルには、主に「Dタイプ」、「Cタイプ」、「RGタイプ」の3種類があります。「D」と「C」に関しては、名称に以下のルールがありますのでこれによりサイズ、特定、材質等が分かります。例えば上記表に示される「3D-2V」を例に取って以下に説明します。
米国においてはMIL(Military)規格がありますが、これは軍用の規格です。形式は「RG XX/U」となり、その意味は以下の通りです。ケーブルの名称には、特に汎用的な直径やインピーダンスを示す部分はありません。
例として、「RG-58A/U」は、インピーダンス50Ωで直径は約5mmです。