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TSN(Time-Sensitive Network)の導入 NEW
Time-sensitive Networking - TSNとは?
TSN (Time-Sensitive Networking) は、標準イーサネット上で確定的な通信を可能にする規格の総称です。802.1AS、802.1Qbv、802.1CB を含む米国電気電子学会 (IEEE) 802.1 標準規格で定義されているように、TSNは、一定の遅延制限内で伝送が行われることを保証するネットワークトラフィック管理の形式を作り出します。これを可能にするためには、すべてのTSNデバイスがクロックを相互に同期させ、共通の時間基準を使用して、産業オートメーションとコントロールアプリケーション用のリアルタイム通信をサポートする必要があります。
- 時刻同期
名前が示すように、IEEE 802.1AS規格に基づくTSN (Time-Sensitive Networking) は、統合されたインフラストラクチャ内のすべてのTSNデバイス間で共通の時間基準を確立することに焦点を当てています。これが、ネットワーク運用の基盤と形成なっています。
- 制限された低遅延 (レーテンシー)
IEEE 802.1Qbv Time-Aware Shaperで定義されたエンド・ツー・エンドの伝送にネゴシエーション不可能な期間割り当ての概念を採用することにより、TSNネットワークコンポーネントは、低遅延で確定的なデータ伝送を保証します。
- 超信頼性
確定的なネットワーク環境のあらゆる側面を実装し維持するために、IEEE 802.1CB 標準に基づいて、最適な信頼性とセキュリティを確保する一連のコンポーネントが定義されています。
- リソースマネージメント
TSNは、リソースマネージメントおよび可視化ツールを提供しており、デバイスプロバイダーはネットワーク要件に応じて組み込むことができます。
TSNが推進するデジタルトランスフォーメーション
Industrial Internet of Things (IIoT)やIndustry 4.0の大きな枠組みに必須要素である製造現場の自動化とデータ交換の現在の傾向は、デジタル化を重要な基盤としています。製造業者にとっては、工場現場のセンサーや機器からリアルタイムのデータを収集して処理し、情報に基づいた判断を下すことは困難な場合があります。TSNは、今日の断片化されたネットワークと将来の統合ネットワークののギャップを解消します。規格化され、確実で、高性能なネットワーク機能によって標準的なイーサネットを強化し、複数の産業用イーサネットプロトコルを1つのユニファイドネットワークへ、シームレスな統合を可能にします。
それにより、産業オートメーションのエコシステムプレーヤーは、デジタルトランスフォーメーションの可能性を最大限に引き出し、より効率的で適応性の高い、インテリジェントな産業オペレーションを実現することができます。

アプリケーション
産業オートメーションからスマートマニュファクチャリング、自動車システムに至るまでTSNは、標準イーサネット上で高精度かつ低遅延(レイテンシー)の確定的な優れた通信を可能にすることで産業を革命化し、重要なアプリケーションのためのパフォーマンスと信頼性を向上させます。ここでは、TSNの多くのアプリケーションと、TSNがさまざまな産業におけるイノベーションと効率を推進する方法について紹介します。
- CNCマシンの複数のアプリケーションを統合
- 産業マシンの大手マニファクチュアラ―は、TSNテクノロジーを活用して、CNCマシンの複数のアプリケーションを統合および最適化しました。TSNを統合することによりネットワークは、リモートI/Oカメラとマシンビジョンカメラのシームレスな統合を可能になり、正確なデータ伝送を確保し、メンテナンス作業を削減しました。このアップグレードにより、この企業は、重要なマシン制御のための確定的な通信を実現し、拡張性を高めることができました。さらに、高度なマシン効率と潜在的な可能性も向上しました。
- TSNテクノロジーによる家電製品マニュファクチャリングの自動化
- 家電製品マニファクチュアラ―は、データ量の増加に悩まされ、既存のインフラストラクチャではパフォーマンスと正確な目標を達成することに課題を抱え、苦労していました。これらの課題に対処するために、TSN テクノロジーを自動化された生産ラインに統合してネットワークを最新化しました。特にTSNイーサネットスイッチを導入することで、リアルタイムで信頼性が高く、確定的なネットワーク通信が確保することができました。このアップグレードにより、運用効率の向上、生産時間の短縮、リソースの使用が最小限に抑えられ、収益と持続可能性の両方の目標を達成することができました。
- AIを活用した水力発電所の運用の効率化
- ある水力発電所は、複数の制御ネットワークを一元化することで、システムをアップグレードして効率を高めることを目指しました。以前は、異なるシステムが異なるプロトコルで実行されていたため、高いメンテナンスコストと複雑さに繋がっていました。そこでTSNテクノロジーを採用することで、これらのネットワークを一元化し、ハイスピード、精密な制御、高度なセキュリティを実現することにしました。この結果、リアルタイム通信が可能になり、効率が向上し、電力出力の迅速な調整が可能になり、コストが削減され、適応性が向上しました。
- 現代のマスカスタマイゼーションを実現する統一されたネットワーク
- ある製品マニファクチュアラ―は、生産、組立ライン、物流システムを一元化し、生産サイクルの短縮とコスト削減を実現することを目指していました。TSNテクノロジーを活用し、重要なネットワークトラフィックを優先することで、ハイスピードネットワーク、高精度なモーションコントロール、低遅延通信を実現することができました。この変革により、適応型生産、マスカスタマイゼーション、運用効率が可能になり、多様な市場ニーズが満たされ、Industry 4.0およびIIoT機能が強化されました。
TSNに関するよくある質問(FQA)
産業界がよりコネクテッドでインテリジェントなオペレーションへと進化するに伴い、TSNは、ますます重要になっています。TSNを初めて使用する方にも、理解を深めたい方にも、このセクションでは一般的な質問にお答えし、TSNが産業用ネットワーキングの状況をどのように変革できるかについての洞察を提供します。
- TSNとイーサネットの違いは何ですか?
TSNは、確定性、低遅延、低ジッターのデータ伝送機能を提供できることで標準イーサネットを強化します。イーサネットは、本質的にベストエフォート、先着順((先入れ先出し)で動作しますが、TSNはデータが正確なタイミングで配信されることを保証します。これを可能にするために、TSN は、 802.1Qbv Time-aware Shaper や 802.1AS 時刻同期など、いくつかの IEEE 802.1 規格を活用しています。これらの特性により、TSNは、精密なタイミングが重要な産業オートメーションなどの分野で非常に貴重なものとなっています。
- TSN は、産業用アプリケーションにどのようなベネフィットを提供しますか?
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- パフォーマンス: TSN は、ハイスピードネットワーク、大容量データの転送、高精度のモーションコントロール、低レイテンシーを提供し、これらすべてがネットワークのパフォーマンスを向上させます。
- 柔軟性: TSN は、標準のイーサネットに基づいているため、幅広いネットワーキングデバイスをサポートします。さらに、TSN を使用するとイーサネットネットワークにさらに高度なアプリケーションを追加できます。
- 信頼性: TSN は、ネットワークトラフィックに優先順位を付けてリアルタイム通信を可能にし、時間的に重要なデータが常に適切な宛先に適切なタイミングで配信されるようにします。
- セキュリティ: TSN は、時間的に重要なデータをスケジュールして許可されていないデータの流入を防ぐことで、ネットワークセキュリティを強化することができます。
- なぜ一元化されたネットワークが重要なのですか?
ITシステムとOTシステムを一元化されたネットワークにコンバージェンス(統合)することは、生産プロセスの合理化と運用効率の向上を実現するために不可欠ですが、これらの大きく異なる孤立したシステムを単一のネットワークに一元化することは容易な作業ではありません。しかしながら、一元化されたネットワークには、いくつかの独自のベネフィットがあります:
- 標準化された通信: 通信に単一の業界標準を使用することで、相互間のインタラクションが簡素化され、さまざまなシステム間の互換性が確保され、AIなどの高度なアプリケーションを採用する可能性が広がります。
- アクセシビリティの向上:1つの言語を使用する一元化されたネットワークは、異なるベンダーの独自のプロトコルに精通することの必要性を減らし、スタッフによるネットワークの運用およびメンテナンスを容易にします。
- コスト効率の向上:TSN は、デバイスとプロトコルの要件を簡素化してネットワークインフラストラクチャを合理化し、メンテナンスと運用コストを削減します。
MoxaのTSNイーサネットスイッチが世界初のTSNコンポーネント認証を取得
2024年9月3日、台湾、台北 — 産業用通信およびネットワーキングのリーダーであるMoxa Inc.は、TSN-G5000シリーズ産業用イーサネットスイッチに使用されるコンポーネントについて、Avnu Allianceから世界初のTSNコンポーネント認証を取得しました。MoxaのTSNパワードスイッチは、相互運用可能、deterministic(確定的)、信頼性の高いエンドツーエンド通信の設計、特定の製造会社の製品のみを組み合わせて構築されたプロプライエタリなシステムの制限なしに、重要な産業用アプリケーションのためのタイムセンシティブネットワーキング(TSN)を実現することを可能にします。
“コンポーネント認証プログラムは、TSN 機能を認証する初めてのプログラムであり、TSN コンポーネントの適合性とベンダー間の相互運用性を検証するための業界プラットフォームとして機能します”と、Avnu Alliance の社長である Dave Cavalcanti は、述べています。“産業用イーサネットとネットワーキング、およびグローバル TSN 標準化プロジェクトにおける Moxa の専門知識と経験は、プログラムに重要な進歩をもたらし、バーチカルマーケットのさまざまな産業用アプリケーションのために、TSN を介した確定的で信頼性の高いエンドツーエンドのネットワーキングを向上させます。”
Avnu Alliance コンポーネント認証プログラムは、オープンな標準ベースのネットワークに確定的機能を統合する業界フォーラムとして、タイミングと同期 (802.1AS) やスケジュールされたトラフィックの拡張機能 (802.1Qbv) などのコア TSN 標準に重点を置いています。さまざまな市場のマニファクチャラ―は、自社のコンポーネントがコア TSN 標準に準拠していることを検証できるようになり、相互運用性が向上し、他のシステムとの統合が容易になります。
Moxa は、標準イーサネットと産業用アプリケーション間のギャップを埋める専門知識を活用して、テスト製品の提供や、イーサネットスイッチなどのネットワークデバイスのテストケースを完成させ、コンポーネント認証プログラムをサポートし、プログラムの開発を支援します。産業オートメーションのための IEC/IEEE 60802 TSN プロファイルやIEEE 802.1 TSN Task Group などの世界的な TSN プロジェクトの経験も、IEEE SA 802.1 TSN 標準をテスト仕様に変換する上でも重要な役割を果たしました。Moxa の貢献により、これらのコンポーネントレベルの TSN テクノロジーが世界中のさまざまな市場で広く効果的に採用されるようになりました。
Avnu認証コンポーネントを搭載したMoxaのTSNイーサネットスイッチは、世界中で成功事例として導入されています。コンパクトな設計とユーザフレンドリーなインターフェースを備えた、これらのイーサネットスイッチは、ファクトリーオートメーション、ダイナミックマスカスタマイゼーション、水力発電所、CNCマシンなどのさまざまなアプリケーションに最適です。TSN-G5000シリーズは、カストマが生産時間の短縮と効率を向上させるだけでなく、実際の産業アプリケーションでTSNの具体的なベネフィットを示し、さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーションを加速します。
Moxaは、TSNコンポーネント認証グラムを通じて、TSNテクノロジーの進歩に対する同社の取り組みが、新たな業界ベンチマークを設定し、絶えず変化する産業オートメーションのニーズを満たすイノベーションを推進し続けると考えています。
Moxa が TSN ネットワークの構築に役立つ製品を提供
Moxaの TSN スイッチは、最新の産業ネットワークの厳しいニーズを満たすことができる設計がされています。確定的な通信、低遅延、高信頼性を保証する高度な機能を備えたMoxaの TSN スイッチは、さまざまなアプリケーションでリアルタイムのデータ交換のバックボーンを提供します。既存のネットワークをアップグレードする場合でも、新しいネットワークをゼロから構築する場合でも、Moxaの TSN スイッチは、比類のないパフォーマンスと柔軟性を提供します。
パートナーと共にTSN 開発を推進

Moxaは、IEEE SAの802.1規格に基づいたTime-sensitive Networking(TSN)機能を最初に認証した、Avnu Allianceの先駆的なコンポーネント認証プログラムを取得しました。Moxaは、テスト専任の協力者として、これらの規格をテスト仕様に変換し、イーサネットスイッチなどのデバイスのテストケースを完成させ、プログラムの実現可能性を確保しました。

Moxaは、OPC FoundationのField Level Communications(FLC)運営委員会の初期メンバーの一員であり、フィールドレベルでのOPC UAとTSNの統合の推進に注力しています。OPC UA TSNエコシステムを監督し、センサーからクラウドへのシームレスなコネクティビティを確保し、統合オートメーションネットワーキングを実現します。