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初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第4章 さらなる理解へ

ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。

4-13) 電波伝搬距離

電波は、理想的な状態では距離と周波数の二乗に比例して減衰しますので、距離が2倍になると信号は1/4に減衰します。同様に、周波数が2倍になると信号は1/4に減衰します。自由空間基本伝搬損失(理想的な状態(環境)でアンテナからある電力を輻射して、そこからある距離 離れた所までに空間においてどの程度減衰するかの計算値)は、右下の計算式で計算することができます。左下の図は、周波数が2.4GHzの場合の距離(m)に対する損失(dB)のグラフの例です。

実際に送信機からの電波が、受信機に受かる電力は以下の様に計算します。

受信電力(dBm) = 送信電力(dBm) + 送信アンテナ絶対利得(dBi) + 受信アンテナ絶対利得(dBi) - 自由空間基本伝搬損失(dB) - ケーブル損失(dB)

ここで、受信機の感度(最低限どの程度の受信電力があれば、信号を復元出来るかの値のことで、dBmで現わします)は、受信機の仕様により分かりますので、上記の式を用いれば通信距離(m)を計算することが出来ます。

この計算はあくまでも理想的な環境での話ですので、実際には多少なりとも異なることがほとんどです。異なる要因としては、これまでに説明をした「インピーダンスのマッチング」すなわち定在波比が送信/受信共に実際に「1」になっているか(ほとんどの場合この様にはなりません)、受信機の周りのノイズの影響がどの程度あるのか(ノイズにより受信機の実質感度は低下します)、ビル等による電波の反射(本来の受信信号に悪影響を与えます)、フェージング(電波は時々刻々電波伝搬環境の影響により変化し、信号強度が波を打つように良くなったり、悪くなったり変化します)の影響等が考えられます。