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将来を見据えてネットワークを準備する

  • 2021.12.07
将来を見据えてネットワークを準備する

最終的にIIoTネットワークを稼働させる場合、その成果に満足して、それ以上を考えないことがあります。しかし、人生においても状況が変化した場合、行動を起こさないことは考えられません。これは、産業用ネットワーキングの世界でも例外ではありません。IIoTネットワークでも、現状のニーズには十分対応しているかもしれません。そして、今後数年間での予測可能なアプリケーション要件に対応できている可能性もあります。しかし、次の10年先ではどうでしょうか?変化は常に起こりかけています。それに対処すべき必要があります。

産業用オートメーションの初期の頃から、標準的なイーサネットテクノロジーが紹介される前に、マニュファクチュアラーは、高度に特殊化された産業用コントロールアプリケーションに対して、様々な専用のプロトコルとシステムを採用してきました。しかしながら、IIoT市場は2023年までに24%(※1)のCAGRで成長すると予想され、将来の産業用ネットワークは、相互接続されたデバイス間で大量のデータの送受信、またはリモートデバイスからデータを収集する必要がほとんど確実にあるでしょう。こうした高まる需要に伴い、産業用ネットワークの将来に対する準備がどの程度高まっているかによって、新たな課題に取り組む上での成功が決まる可能性があります。このセクションでは、IIoT対応の産業用ネットワークを将来に対応するために必要な3つの要素について説明します。

(※1) The Industrial Internet of Things Market Forecast, MarketWatch, March 2019

image (画像クリックで拡大します)

統合インフラストラクチャとのより優れた統合を実現

長年にわたり、産業用ネットワークは異なる産業プロトコルを使用する様々なデバイスが導入され、多様なサービスを提供してきました。このような状況下において、ネットワークの統合は通常、予想以上にコストが発生すると共に、実現が難しくなります。マニュファクチュアラーは現状を選択するか、つまり、過去からの多くの専用プロトコルを使用している既存の孤立したオートメーションネットワークをそのまま維持するか、あるいはdeterministic(時間確定性)サービスを提供してこれらの"オートメーションのアイランド"を統合するソリューションを探すことができます。

将来のIIoTネットワークに対する高まる需要に対応することを目標である場合、選択は明らかに後者です。大ざっぱなやり方は、潜在的な産業用プロトコルを考慮に入れ、市場で新たな要求が発生した場合に備えてネットワークを再設計できるようにすることです。TSN (Time-Sensitive Network)は、IEEE 802.1 TSN Task Groupが高度なツールボックスとして導入した新しい規格のセットです。TSNを使用すると、将来の柔軟性を確保する標準的なイーサネットテクノロジーを使用してオープンで統一されたネットワークを構築できます。さらに、この新しいテクノロジーを提唱している主要なプレーヤーが提供するソリューションの選択を検討する場合は、TSNプラグフェスト(高速インターフェースの公式試験や相互接続性試験)に積極的に参加してエコシステムを完成させ、異なるベンダー間の互換性を確保します。

ホワイトペーパー:TSN (Time-Sensitive Network)が産業オートメーションに革命をもたらす

スマートマニュファクチャリングの将来のために真のユニファイドネットワークインフラストラクチャを定義するために国際標準化団体およびMoxaなどのハードウェアベンダがコラボして、標準イーサネットを拡張する産業用ネットワークとITネットワークシステムとの情報通信が混在する中で相互運用の実現を可能とするネットワーク技術であるTSN (Time-Sensitive Network)を基盤とするソリューションを開発しています。TSNが真のIIoTネットワークを実装するための強固な基盤を形成することで世界のマニュファクチュアラーは最終的にIndustry 4.0が約束するすべてのベネフィットを享受できます。

手間のかかのないクラウドサービスを利用してリモートマシンにどこからでもアクセス

クラウドベースのリモートアクセスは、複数のリモートサイトにメンテナンスエンジニアを派遣する際に発生する時間や費用の削減ができるなど、IIoTカスタマーに多くの利点を提供します。さらに、クラウドベースのセキュアなリモートアクセスは、将来の動的で変化する要件に対応する柔軟でスケーラブルなコネクションを提供することができます。しかしながら、上下水道処理プラント、マシンビルダ、その他のIIoTカスタマーのためのオペレーショナルテクノロジー(OT)エンジニアにとって、新しいサービスやアプリケーションを提供するために独自のクラウドサーバをセットアップし維持することが面倒かもしれません。実際、クラウドを設置する場合、新しいインフラストラクチャの構築に関してかなりの努力が伴います。幸いにも、OEMおよびマシンビルダは、独自のクラウドサーバを維持することなく、セキュリティなクラウドベースのサービスとリモートアクセスをカスタマーに提供できるようになりました。

確実に精査すべき重要な問題の1つは、クラウドサーバのライセンススキームです。サーバホストが限られている場合、先行コストが低いと思われる場合が多くあります。しかし、サーバホストでのこれらの明らかなコスト削減は、コネクションの規模が限られているため、実際にはプロジェクトが不経済となることがあります。第二に、将来的にリモートコネクションを柔軟に拡張するために、セントラルマネージメント機能を検討する必要があります。これにより、産業用ネットワークへのセキュアなリモートアクセスを組み込むことのコストとメリットを慎重に比較検討できます。上記の煩わしさを省くソリューションを常に選択し、カスタマーにより多くの価値とメリットを提供することに集中することができます。

PLC、HMI、およびオートメーションネットワークへのリモートアクセスはオンサイトへの訪問を減らし、サービスを改善し、時間とコストを節約しながら運用効率を高めるのに役立ちます。 Moxaリモートコネクト(MRC)ソリューションとMRCクイックリンクサービスは、セキュリティ、使いやすさ、安全なリモートアクセスの柔軟性という新しい世界を切り開きます。

OTおよびITプロフェッショナル両方のネットワークステータスを可視化する

ニュースや写真で次のようなシーンを見たことがあるでしょう。地下鉄システムのコントロールでは、各地下鉄駅の現在のステータス、走行中のすべての列車の位置などを表示する一連のモニタシステムがあります。管理者やオペレータは、現状を迅速に判断し、目の前の画面に集約された情報に従って行動を起こします。これらの可視化は、すべてを管理下に置くことができます。産業用ネットワーク上のコネクティビティが高くなるにつれて複雑さが増すことで、問題の根本原因を特定し、十分なネットワークの可視化を維持することが非常に難しくなります。コントロールエンジニアは、多くの場合、システムを正常に戻すために試行錯誤を繰り返す必要があり、これは時間の浪費と面倒な問題を引き起こすことに繋がります。

従って、成長する産業用ネットワークを容易に管理するためには、ネットワークオペレータが、統合されたネットワークマネージメントソフトウェアを使用してネットワークの導入、メンテナンス、診断を通じて、より多くの情報に基づいた意思決定を行う必要があります。さらに、システムの成長が進むにつれて、ネットワーク統合に関する多くの懸念事項に注意する必要があります。まず、特に既存のシステムを新しいシステムと統合する必要がある場合、3~5年後にはローカルコントロールセンタで産業ネットワークを管理するだけでは実行不可能となります。そのため、SCADAシステム統合のためのOPC DA tagまたは外部WebサービスのためのRESTful APIといった統合インターフェースを備えたネットワークマネージメントソフトウェアを使用することが重要となります。さらに、サードパーティのソフトウェア統合を容易にするインターフェースも、将来の柔軟性を確保するための重要な基準です。

産業用ネットワークの先駆者として、Moxaは、セキュアリモートアクセスのためのリモートコネクション・マネージメントプラットフォーム(Moxa Remote Connect Suite)ネットワークの可視化で産業用システムの可用性を向上する といった将来のIIoTアプリケーションに対するネットワーク対応を加速するために、前述した3つの要素をすでに満たしている革新的なテクノロジーとソリューションを数多く提供しています。産業用ネットワークの詳細については、産業用コネクティビティとネットワーキングガイドブック101 - 初級編 をご覧ください。