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産業用ネットワークソリューション
厳しい産業環境で強靭なUSBコネクションを実現
USBは現在、あらゆる分野で便利に使われ、一般生活にまで浸透しています。しかし、それは本質的に堅牢で信頼できるものであるとは言えません。USBをその環境に対応して上手に使いこなすかは、あなた次第です。
Premier Resource ServicesのエンジニアであるJohn Bakerは、ラップトップをカスタマーの産業用マシンに接続した際に不愉快な思いをしました。接続したあとすぐにPCから煙が出て、その結果、Johnのハードドライブ、USBポート、USBコンピューターが損傷してしまいました。このトラブルの問題はすぐに発見しました。その原因は、ラップトップが壁のコンセントに差し込まれている間、彼がサービスしていたマシンがショップの単相電源に接続され、GFI(漏電遮断器)をトリップから維持するためのリードが逆になっていたことでした。ラップトップと接続されたデバイスのグランド電位が異なることで、USBケーブルは低グランド状態の経路になりました。
キオスクのメーカーは、カードリーダーをキオスクの内蔵コンピューターに接続しました。すべてがパワーアップし、すべての接続が正常に見えましたが、2つのデバイスは通信できませんでした。ごく自然な考え方は、カードリーダーまたはケーブルのいずれかに問題があると想定します。しかし、それは問題ではありませんでした。問題は、キオスクの内蔵コンピューターにあります。これは低コストのシングルボードデバイスであり、USBポートは、フルパワーを提供していませんでした。
射出成形機の製造業者は、複数の加熱要素の温度を調整することによって、部品品質を高め、材料コストを削減する方法を見出しました。この製造プロセスは強力な電磁場を発生します。制御用コンピューターは、この電磁場から安全な距離に保つ配置がされましたが、USB hubとケーブルは電磁場内にあり、その結果、通信は電磁干渉をまともに受けました。
B&B Electronicsのデータ通信の専門家であるMike Fahrionは、こう述べています。「USBを使用している限り、あらゆる種類の問題を予想することができる。」「もともと、USBは、安全な家庭やオフィスのデスクトップ環境でコンピューター周辺機器を接続するための標準バスとして設計されています。 しかし、仕様が全く異なるハードウェアまたはオペレーティングシステム上で同じ仕様のものを動かすことができるクロスプラットフォームでホットスワップ可能なインターフェースは非常に有用であることであることから、USBは、製造システム、救急医療機器を始め、あらゆる産業用システムまで採用されていますが、それは決してこれらの環境を想定して設計されていませんでした。」
固有の弱点に関する詳細
USBは、プリンター、キーボード、メディアプレーヤー、カメラ、外付ディスクドライブなどのホーム用機器およびオフィス機器を接続することを目的としていました。そして、単にそれらを接続するだけではありません。多くの場合、周辺機器に独自の電源が必要であるという要件を排除して、5VDCのパワーを供給します。実際、充電式デバイスは、USBを使用して内部バッテリをフルパワーに充電することができます。
デバイスはUSBポートから最大5ユニット負荷を引き出すことができ、USB 2.0のユニット負荷は100mAと定義されています。 "ローパワー"デバイスは、1ユニット負荷100mA未満を引き出します。"ハイパワー"デバイスは、フル500mAを引き出すことができます。さらに、500mAを超える電流を必要とするデバイスは、同時に2つのUSBポートからパワーを引き出すことができるY字型ケーブルを装備することができます。プリンターのような内部電源を有するデバイスは、"ローパワー"デバイスとして登録され、100mAしか必要としません。
デバイスは、当初はローパワーで機能しますが、必要に応じてハイパワーを要求することができます。これは、いずれにしても仕様どおりです。
USB電源の強化
現実は、残念なことに、設計者やメーカーがUSB仕様を厳格に遵守しているわけではありません。例えば、ショッピングモールで使われているキオスクのシングルボードコンピューターは、USBポートにハイパワーUSBデバイスのために500mAを供給していませんでした。それは100mAの供給で1ユニット分の負荷でした。内部電源の接続されたデバイスは正常に機能しますが、500mAを必要とするハイパワーデバイスでは機能しません。同じ弱点が多くのデバイスで見られます。一般的な例として、より安価なNetbookが含まれています。USBを要求するアプリケーションの数が増え続けるにつれて、USBポートが500mAのパワーを完全に供給しないため、デバイスが正しく機能しなくなる発生件数が増大します。
すべてのメーカーがあらゆるところでUSB仕様を真剣に受け止められるようにするためにできることはあまりありません。しかし、パワードUSBアイソレーターやパワードUSB hubのようなデバイスをインストールすることで、低電力USBポートに関連する問題を解決できます。これらは最大500mAまでUSB信号をブーストします。
グランドループに対する強靭なUSB
USB 経由でリモートデバイスを接続できることは非常に便利です。しかし、接続されたデバイス間の距離が大きくなれば、通信デバイスが異なる建物の接地基準からパワーを得ることになる可能性が高くなります。その場合、USB ケーブルのグランドワイヤは、グランドループパスを生成する可能性があります。
ホーム/オフィス環境では、グランドループの問題はほとんど問題にはなりません。実際に接続されているデバイスは通常、壁のコンセントと共通のグランドを共有し、また、非常に近くにあります。しかし、産業用インストレーションでは、はるかに複雑になります。例えば、プロセスコントロールシステムが1つの建物の場所のソースから給電されますが、フロントパネルは、どこか別の場所から供給される状況を想像してみてください。PCをUSB経由でフロントパネルに接続したとき、PCを同じ場所でパワーを供給すると、数百メートル離れたところにあるプロセスコントロールシステムとグランドループを生成する可能性があります。モータやその他の高出力デバイスからの磁束は、このグランドループを通してグランドの電流ノイズを誘導する可能性があります。運がよければデータ伝送エラーだけの結果で済みますが、極端な場合、サージおよび電圧過負荷などによりIC回路やコネクターを焼損させる可能性があります。(図1参照)
- 図1:電気的サージ
マーフィーの法則:最も高価なコンポーネントは、必然的にヒューズとして機能する
コンピューターと接続されているデバイスは、USBアイソレーターで保護する必要があります。通常のサージ抑制は、信号ラインとグランドライン間のスパイクを制限しようとします。しかし、グランラインが上昇する場合、実際にはグランドループの状況と同様になり、サージ抑制がそれを止めることはありません。アイソレーションは、適切なグランドと信号レベルでローカル側を維持しながら、ラインがフロートすることができます。アイソレーターは、電気的なフローを制御すると同時に、データストリームが中断されないことを保証します。専用のインラインUSBアイソレーターと、アイソレーションされたhubやシリアルコンバーターなどのアイソレーション機能を含む追加機能を実行するUSBデバイスを導入することができます。(図2参照)
- 図2:産業用USBのためのアイソレーション
アイソレーションは、データ信号とUSBケーブルによって供給される5VDCのパワーの両方の性質を変えることによって動作します。データはアイソレーターに電気信号として入力され、光のパルスまたは電界のいずれかに変換され、再び電気信号に戻されます。データフローは中断されませんが、アイソレーションゾーンでは、電力サージとESDをストップします。アイソレーターは、電源ラインのサージとESD に対して、5 VDC USB 電源を絶縁トランスを介して、ACに簡単に変換し、再びDCに戻すことによって保護します。
強靭なUSBケーブル
USBケーブルにはいくつかの優れた機能があります。例えば、仕様では、意図的にUSBコネクターを誤って接続することが非常に困難になっています。パワーを供給するホストデバイスはtype Aのコネクターを使用し、パワーを受けるデバイスはtype Bのコネクターを使用します。これにより逆にすることができません。ユーザが誤って2つのUSB電源を接続し、高価な回路に対する焼損や損傷のリスクの発生を招く可能性はありません。
この仕様では、type Aコネクターの電源コネクションが外側、データコネクション(D+ および D-)が内側にあることと、凹んでいることが必要です。これは、電源コネクションが最初に確立されるため、データエラーを防止することを意味します。
コネクター自体は、着脱が容易にできる設計がされています。コネクターは、つまみネジやクリップを必要とせずにケーブルを固定できます。これは、机の下やさまざまな種類のオフィス機器の背面にあるなど、しばしばぎこちない角度でコネクションしているオフィス環境では、非常に便利であることが証明されているケーブル配線ソリューションを提供します。
しかし、オフィス環境ではUSBコネクターの着脱が非常で便利であるのに対して、産業環境においては問題が発生します。産業用アプリケーションにおける激しい振動に対しては、接続されている機器からUSBケーブルのコネクターが緩み、ルーズコンタクトになる可能性があります。USBケーブルを誤って引っ張っても同じ結果が生じます。USBケーブルはパワーを供給するため、USBケーブルが緩んでいるとアークが発生する可能性があります。これは、火災や爆発の危険性がある環境では重大な問題に繋がります。
製造メーカーは、この問題に対処し始めています。1つの解決策は、USBケーブルとポートをつまみネジで接続する方法があります。しかし、このような特殊な専用ケーブルは標準品でないため、どこからも購入できません。さらに、つまみネジは、USBの最も便利な機能の1つ、即ち、USBケーブルの抜き差しが容易である特長を排除することになります。
このため、より洗練されたソリューションとして、"ハイリテンション"USBポートを導入する方法があります。この、ハイリテンションUSBは、どんなケーブルでも使用でき、USBのクイックな着脱機能を保持しています。その大きな違いは、それを引っ張るために、より多くの力が必要であることです。例えば、B&B Electronicsが使用するハイリテンションポートは、ケーブルをしっかりと固定し、15ニュートン(3.2ポンド)の力で取り外す必要があります。そのため、Class 1 Division 2のUL要件を満たす危険な場所での使用に耐えることができます。(図3参照)
- 図3:産業用ハイリテンションのUSBポートの出現によるセレブレーション
EMIおよびESDに対する強靭性
標準的なUSBケーブルは、オフィス環境のために使用することを前提としているため、静電気放電(ESD)または電磁波障害(EMI)に対しては脆弱です。それはまた、ESDおよびEMIは深刻な問題ではないと予想されたからです。しかし、USBが産業環境のコントロールパネル、ファクトリフロア、緊急車両、医療分野などに使われる電子機器には、重要な使命を担っているため、EMIおよびESDは毎日のリスクとなる可能性を秘めています。これらの厳しい環境では、USBケーブルは、予期せぬスパイクやサージが発生することで、接続された機器を損傷する可能性があります。さらに、標準ケーブルでは、湿度、ほこり、温度などに対する耐性がありません。
より信頼性の高いUSBケーブルは、さまざまなバージョンがあります。 オプションは、EMI耐性のあるシールドされたプラスチックケーブルから、EMI耐性のあるIP67保護等級のメタライズドプラスチックケーブルまで、過酷な環境からの物理的損傷の可能性を阻止します。
USBの距離制限を克服する距離延長
USBは、USB1.0/2.0規格に準じたケーブルで5m、 USB3.0の場合は3mと非常に短く、それではオフィス環境ではさほど問題にはありませんが、産業環境、医療システムなのアプリケーションでは、短すぎて問題となります。USB hubを使用して最大30mまで延長し、また、これにより、ポートを追加することもできます。(USBを使用すると、1台のコンピューターで最大127台の異なるデバイスを制御できます)。ホーム/オフィス用に設計されたUSB hubは、通常は信頼性に欠ける感じですが、ハザード環境に耐える産業用グレードのUSB hubは、システムに影響を与える有害なあらゆるノイズ、グランドループ、サージ、スパイクからの保護、ハイリテンションコネクター、多彩なマウンティングが可能で産業環境の使用に最適です。特に、アイソレーションを組み込んだ産業用グレードのhubは、同じユニット内で複数の機能を実行することができるので、スペースが制限されたシステムで優れた効率を発揮します。
この他に、距離制限のあるUSBを長距離延長するための解決策として、Cat5eケーブルやファイバーケーブルを使用して長距離延長する方法があります。IcronのExtremeUSBエクステンダーシステムは、距離制限を克服すると共に、シンプルな "plug and play" 設置で、あらゆるオペレーティングシステムとの互換性があります。
インストレーションと有害な各種ノイズから保護する産業用グレードデバイス
商用グレードのUSBデバイスは、産業環境のような厳しいアプリケーションで使用するために設計されていません。デスクトップから離れてインストレーションするには、環境に対応した優れた機器を導入し、その場所にしっかりとインストレーションできる必要があります。産業用グレードのhub、アイソレーター、USB-シリアルコンバーター、またはその他のUSBデバイスを導入する際には、パネルやDINレールマウントができる機器が必要です。
USB機器は、使用環境での何らかの要因で焼損した回路基板やコネクターなど、その損傷原因を特定することは難しく、調査には多大な時間、また、機器の修理には多大なコストを費やします。そのためには、環境に対応した信頼性の高い産業用グレードのHubおよびサージやコモンモードなどのあらゆる有害なノイズから保護する産業用アイソレーターを採用する必要があります。
"USBは、無視できない有用なデバイスです"。最近、厳しい産業用アプリケーションにも耐える、産業用グレードのUSBデバイスやアイソレーターが登場しています。それをいかに使いこなすかはあなた次第です。