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Moxaの豊富なCANbusポートフォリオで、強固かつ効果的なコミュニケーションを実現 NEW
自動車だけにとどまらず、多様な産業分野で活用されるCANbus技術
Controller Area Network (CAN) プロトコルは、1980年代にロバート・ボッシュ (Robert Bosch GmbH)によって自動車通信用に開発されたもので、マルチマスター、マルチスレーブ、半二重、フォールトトレラントのプロトコルであり、車載アプリケーションの要件によく適合しています。特に、自動車の電子制御ユニット (ECU) 間の通信を効率化するために設計されたCANbusは、その起源である自動車を超え、シンプルで低コスト、信頼性が高く、過酷な環境でも使用することができることから、多くの産業用ネットワークにとっても不可欠な存在になりつつあります。その中でも、再生可能エネルギー、産業用制御システム、医療システムなど、幅広い産業分野でのアプリケーションの最適化に適しています。この記事では、CANbusが産業用ネットワークの専門家に選ばれている主な特長を探り、さまざまな産業シナリオにおける実用的なアプリケーションに焦点を当てます。
自動車用アプリケーションから産業用アプリケーションへのシームレスな移行
自動車産業界におけるCANbusの成功は、効率性と信頼性を備えたシステムを接続する機能を示しています。これらの特質は、産業オートメーション、特にエネルギー貯蔵システムにシームレスに反映されます。CANbusは、自動車のさまざまな制御ユニット間の通信を調整するのと同様に、現在では、再生可能エネルギー設備におけるエネルギー貯蔵管理においても重要な役割を果たしています。このようなシステムでは、複数のバッテリーユニット、インバーター、その他のコンポーネントが使用されることが多く、エネルギーの生成、貯蔵、分配を最適化するためにシームレスな通信が必要となります。CANbusは、これらの複雑なシステムが効果的に機能するために必要な、堅牢で効率的な通信バックボーンを提供します。CANbusはエネルギーシステムに自然に適合しますが、その機能は他の幅広い産業用アプリケーションにも大きなベネフィットをもたらします。
CANbusの採用を推進する主な機能
産業エンジニアは、CANbusプロトコルのいくつかの重要な機能を特定し、さまざまな産業アプリケーションでの広範な採用を加速させました。次のセクションでは、これらの重要な機能と、それらが各産業界でどのように実用的なベネフィットをもたらすかについて説明します。
CANbusソリューションでシームレスなインテグレーションと信頼性の高いパフォーマンスを実現
最新の産業用アプリケーションには、堅牢で効果的な通信が必要とされます。MoxaのCANbus製品群は、システム全体のスムーズなインテグレーションとデータ転送を保証します。また、プロトコル変換を目的とするCANプロトコルゲートウェイ、通信距離の延長と信号品質を維持するCAN -ファイバーコンバーター、多目的な接続を実現するCANシリアルカードを提供します。これから紹介するケーススタディでは、Moxa製品が実際にどのように適用され、どのような利点を実現できるかを紹介します。これらのMoxaソリューションが顧客のCANbus通信ニーズをサポートおよび強化し、異なる産業環境で信頼性の高いパフォーマンスを実現します。
CANプロトコルゲートウェイ
船舶用統合電気推進システム
- 配線の簡素化
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複雑な産業用ネットワークでは、従来のポイント・ツー・ポイント配線は煩雑になることがあります。CANbusは、2線式バスとバス型トポロジーによって、この障害を回避します。CANbusは、多くの個別接続の必要性を排除することで、ケーブルの乱雑さと設置の複雑さを軽減し、より柔軟で整理された配線アーキテクチャを実現します。
配線の簡素化によるベネフィットは海洋業界で顕著に表れており、推進力とバッテリー監視用の船上システムを接続するためにCANbusゲートウェイが導入されています。船舶内は設置スペースが限られているため、コンパクトなゲートウェイを使用することで、船舶のオペレーターはCANbusを活用してケーブル配線とコストを削減し、船内の限られたスペースを最適に活用できます。
- 船舶用統合電気推進システム
- システム要件
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- 環境問題に対処するため、最新の船舶推進システムにはバッテリーが組み込まれており、ブリッジと推進システム間にあるデバイスを制御用のPLCに接続する必要がある。
- デバイスは、J1939 (バッテリー)、インテリジェントジョイスティック (CANopen)、PLC (PROFINET) など、プロトコル変換を必要とするさまざまなプロトコルを使用している。
- 電気キャビネット内のスペースが限られているため、プロトコルゲートウェイはできる限り小型化する必要がある。
- 導入の効果
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- MGate 5123は、エンドデバイスのJ1939またはCANopenをサポートし、PLCに要求されるPROFINETに変換する柔軟性を提供します。
- コンパクトデザインで、限られた設置スペースにフィットします。
- 効率的なトラブルシューティングを実現することができるビルトインのプロトコル診断、トラフィック監視、イベントロギングにより、異種システムの統合を促進します。
シリーズ |
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ノースバンドプロトコル | Modbus TCP SNMP |
EtherNet/IP SNMP |
PROFINET SNMP |
サウスバンドプロトコル | CANopen, SAE J1939, CAN 2.0A/B | ||
動作温度 | 標準:-10~60℃ / ワイド:-40~75℃ |
風力タービン発電
- 堅牢な通信
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産業環境はしばしば、極端な温度、振動、電磁干渉などの過酷な条件にさらされます。CANbusは、差動信号とエラー検出メカニズムにより、このような条件下で優れた機能を発揮します。差動信号は、電気的ノイズが存在する場合でも信頼性の高いデータ伝送を保証し、エラー検出、データの確認応答 (ACK:アクノリッジメント)、再送信のサポートで、データの完全性を保証することができます。
CANbusのこのような堅牢な機能は、風力タービン発電機の内部など、高レベルの電磁干渉が発生する産業用アプリケーションで使用される場合に主要な役割を果たします。プロトコルゲートウェイを導入することで、風力発電所のオペレーターはCANbusを使用してタービンコンポーネントを接続し、さまざまなプロトコルで監視インターフェースにデータを送信することができます。CANbusの高い耐性によって、データ送信はタービン内部で発生する電気ノイズの影響を受けず、エンジニアは常に正確なデータを受信することができます。
CAN - ファイバーコンバーター
火災報知システム
- リアルタイム制御
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正確な制御を必要とするタイムクリティカルな産業用アプリケーションでは、リアルタイム制御機能が不可欠です。しかし、CANbusとは異なり、従来の主流のシリアル通信プロトコルはこの機能をサポートしていません。CANbusは、重要な制御コマンドに優先順位をつけ、常に最初に処理されるようにします。CANbusは、メッセージの優先順位付けとアービトレーションによってこれを実現しています。このプロセスにより、重要なタスクに必要な帯域幅が確保され、中断されないことが保証されます。
重要なデータを確実に処理できるこの機能をサポートするCANbusは、火災警報システムなど、正確な同期と即時の応答を必要とするアプリケーションに最適なプロトコルとなっています。このような警報システムが効果的に機能させるには、煙探知器、警報灯、ブザーなど、すべてのコンポーネントをサイト全体で同期する必要があります。これらのコンポーネントをCANbus経由で接続することで、エンジニアはデータの優先順位付け機能を活用して、緊急事態が発生した場合にすべてのシステムが即座に応答できるようになります。さらに、エンジニアはCAN - ファイバーコンバーターを導入して、CANbus通信の利点を簡単に拡張し、異なるサイト間の消防システムを長距離接続することができます。
- 火災報知システム
- システム要件
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- CANbusのボーレートは通信距離により制限される。ボーレートが高いほど、通信距離は短くなる。実際のアプリケーションにおいてビル間の防火用パネルを接続する際、1Mbit/秒で最大40mではあまりにも短いため、CAN - ファイバーコンバーターを使い、距離の延長をする必要がある。
- CAN - ファイバーコンバーターのACKメカニズムは必須となる。
- 導入の効果
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- MoxaのICF-1171Iシリーズ CAN - ファイバーコンバーターを使い、最大1MbpsのCANボーレートと最大5MbpのCAN FDボーレートをサポートすることができます。シングルモードでは最大40km、マルチモードでは最大2kmを、ファイバーにより延長することが可能になります。
シリーズ |
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差別化 | 信号のアイソレーションのみ | 距離延長 |
プロトコルサポート | CAN | CAN, CAN FD |
ファイバーモード | マルチモード (最大距離 2km) |
マルチモード / シングルモード (最大距離 40 km) |
自動ボーレート機能 | ━ | ✔ |
動作温度 | 標準:0~60℃ ワイド:-40~85℃ |
標準:0~60℃ ワイド:-40~75℃ |
CANインターフェースカード
人工心肺装置システム
- インテグレーションの合理化
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CAN 2.0A/BおよびCAN FD規格は、通信の基本層を定義しています。特定の要件に基づいて、産業界は追加の上位層プロトコルを定義して、デバイスプロファイルと通信オブジェクトの標準化されたフレームワークを提供できます。高レベルのCANbusプロトコルの例としては、CANopen、J1939、DeviceNetなどがあります。これらのプロトコルは、同じCANデータ層規格を介して通信するため、相互運用性が向上し、異なるシステムの統合が簡素化されます。
この汎用性を実証する優れた事例として、医療機器におけるCANbusの使用が挙げられます。スペース効率に優れたCANbusインターフェースカードを医療機器に組み込まれたIPCにインストールすることで、システムビルダーは、CANopenやJ1939などの上位層プロトコルで動作する患者モニター、血液ポンプ、酸素発生器など、さまざまな医療システムを統合することができます。
- 人工心肺装置システム
- システム要件
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- 医療用機器プロバイダーは、人工心肺装置の信頼性と有効性を維持するためにCANインターフェースを提供している。
- ほとんどの医療機器は、デバイスの統合とアプリケーションの開発に産業用 PCを使用しているので、モジュラー設計を必要とする。
- 医療機器のキャビネットはスペースが限られているので、設置するデバイスはできるだけ小型であることが必要とされる。
- 導入の効果
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- 機器メーカーは、MoxaのCANインターフェースカードをボックスタイプの産業用PC(IPC)システムに容易に統合できます。プロセスがユーザーフレンドリーであり、複雑な手順や広範な技術的知識を必要としません。
- MoxaはさまざまなIPC OSをサポートするドライバーの開発に取り組んでいるため、OSの種類、レガシーまたは最新のプラットフォームに関係なく、顧客がCANカードをシステムに簡単に統合することが可能です。
シリーズ |
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インターフェース | PCI Express | Universal PCI | PC/104-Plus |
プロトコル | CAN 2.0A, CAN 2.0B | ||
ボーレート | 10/20/50/125/250/500/800/1000 kbps, ユーザー定義 | ||
アイソレーション | 2kV | ||
動作温度 | 標準:0~55℃ ワイド:-40~85℃ |
汎用性で産業用アプリケーションを強化
CANbusは、このテクノロジーを開発した自動車業界から、再生可能エネルギーやビルオートメーションなどの他の分野に至るまで、さまざまな産業分野にとって欠かせない資産となっています。配線の簡素化、堅牢な通信機能、リアルタイム制御機能の組み合わせにより、CANbusは産業エンジニアにとって非常に汎用性の高いツールとなっています。また、上位層プロトコルによって使用方法をカスタマイズできるため、CANbusの柔軟性がさらに高まり、エンジニアは幅広いアプリケーションにCANbusを簡単に統合することができます。これらの特長により、複雑なシステムを接続するための費用対効果、信頼性、拡張性、効率性に優れた手段を求めるエンジニアにとって、CANbusは魅力的な選択肢となっています。
エネルギー貯蔵システムの最適化、生産ラインの自動化、制御システムの統合など、CANbusは幅広い産業用アプリケーションで効率と信頼性を向上させる多くの可能性を有しています。
Moxaのソリューション
Moxaは、CANbusの利点を活用して産業用アプリケーションを強化するための幅広いソリューションポートフォリオを提供しています。