導入事例

概要

世界で最も混雑する海港では、1年間で5億～10億トンもの貨物が行き来します。深水港は最大級の貨物船の積載を取り扱うことができ、24,000TEU (20フィートコンテナ換算単位) のコンテナに対処し、船舶を素早く入港・出港させるため、回転率を速めています。ほとんどは港へ出入りするゲートを複数用意しており、24時間年中無休で稼働します。日夜、この運営を維持するために必要な労力はご想像いただけるはずです。

解決すべき問題

素早く船舶を出入りさせるだけでも困難ですが、船から下ろされた数百万トンものコンテナは、その先どこへ向かうのでしょう？コンテナを下ろすクレーンは休みなく稼働し、各コンテナは最大28トン (25,400 kg) に達するため、それらを輸送、配置、追跡するのは容易な作業ではありません。すべての貨物船が24,000TEUの積載量を持つわけではありませんが、その半分の積載量であったとしても、ドックの作業員は約10,000TEUを貨物船から下ろす計算になります。

問題解決

海港のデジタル化は1990年代初頭から始まりましたが、海港のアプリケーションに必要な技術と演算処理能力は、今日の半分にも及びませんでした。海港で最も普及したデジタル化の一つに、クレーンの自動化、あるいはリモートで制御する能力が挙げられます。このデジタル化のメリットは多数あります。まず、熟練のクレーンオペレーターを見つけるのは難しく、雇うのも費用がかかるため、人件費が節約されます。次に、リモート制御または完全自動化されたクレーンシステムでは、オペレーターがクレーンのコックピットを上り下りする必要がないため、安全性が高まり、また、上り下りの時間が節約されます。さらに、クレーンオペレーターはシフト終了後にしかトイレ休憩をとれない場合がよくありますが、今後は休憩を含め、より柔軟に仕事をこなせます。

クレーンのリモート操作機能により、オペレーターはトイレが60m下、300m先ではなく、操作室のすぐ脇にある安心感と安全性を得て仕事に集中できます。

コンテナの積み下ろしを完了させる海港のデジタル化でもう一つ重要な処理はコンテナの輸送です。クレーンオペレーターと同様、従来の方法では、ドライバーが積載車を運転して目的地へコンテナを運ぶ必要がありました。これまでのデジタル化の試みでは、磁気ストライプでガイドされた車両が使用されていました。しかし、このようなシステムを導入するには、数千もの磁石を敷設するために港を大幅に改装しなければならず、毎年のメンテナンスも必要でした。

今日、積み下ろされたコンテナはカメラ、センサー、LiDAR (ライダー)、レーダーを活用するインテリジェント搬送車 (IGV) によって運ばれるため、自動的に目的地へ走行し、経路上の障害物を回避して、積載したコンテナを指定された場所で下ろすことができます。このIGV積載システムは、元の場所に戻って次のコンテナを載せる前に、どのコンテナをいつ積載して配置したかを完璧に把握できます。このデータはすべて、制御室のメインコンピューターへアップロードされます。

2つの自動化の相乗効果により、安全性と効率性を上げ、労働力とコストを節約します。

Neousysのコンピュータープラットフォーム

コンテナの積み下ろしの際にはクレーンの接近角度が重要になるため、複数の角度からコンテナを見下ろせなければなりません。クレーンのコックピットでは電源の種類が限られるため、USBまたはPoE経由で複数のカメラに接続できる組込みコンピューターが必要です。さらに、システムの広範囲な電源供給が可能であることも重要です。また、コックピットは悪天候に晒されるため、幅広い温度環境でも機能を維持できなければなりません。耐衝撃性と耐振動性を備えていることも重要な条件です。

地上のIGVでは、コンピューターの要件は車載コンピューターとよく似ています。センサー、LiDAR、カメラ、ワイヤレス通信モジュールへ接続でき、衝撃や振動への耐性を持つことが、実装時の主な考慮事項となります。

Neousysは、GPU補助の有無、超小型や小型、省電力型や強力な演算プラットフォームまで、各種の組込みコンピューターを提供しています。標準機能として広範囲の電源と温度に対応し、また、非常に過酷な環境向けに設計された、一体型鋼鉄シャーシ製、IP67防水の超堅牢なコンピューターなども用意しており、海港の自動化ニーズに合った組込みプラットフォームを確実に見つけることができます。

Neousysの組込みコンピューターのメリット

Neousysの堅牢組み込みコンピューターは以下のメリットを提供します：

環境耐性

• IP67防水/防塵GPUコンピューター
• 極めて苛酷な環境条件に対応する超堅牢性のコンピューター
• 過酷で変動の大きい環境に対応する、-25℃～70℃の広範囲温度動作
• 熱/電気干渉を防ぐ、特許取得済みカセット設計
• 3軸でテストされた特許取得済みのダンピングブラケットが衝撃と振動を吸収
• 狭いスペースにも収まる超小型のVTCシステム

接続性/拡張性

• GigEカメラ用のPoE+接続機能
• USBカメラ用のUSB3.1 Gen1/Gen2接続機能
• ネジロック付き接続ポートが堅牢な接続を確保
• WiFi 6/WiFi 5/5G/4Gワイヤレス通信、mini-PCIeモジュールによる拡張性

推論処理能力

• 最大2枚のNVIDIA® RTX 30シリーズのグラフィックカードをサポート
• 最大でNVIDIA® RTX 3080グラフィックカードをサポート
• 最大でNVIDIA® Tesla/Quadro推論アクセラレーターをサポート

電気性能

• 特許取得済みのSuperCAP UPSが不慮の停電に対処
• 広範囲のDC入力

拡張機能

• PCIe拡張
• PCI拡張
• mini-PCIe拡張
• M.2 B/Eキー拡張
• イグニッションコントロール
• MezIOデジタル入力/出力、COM、イーサネット、USB

出典：Neousys Technology Inc.