技術情報
産業用エッジコネクティビティ / 電力・変電所
変電所のSCADAのレガシーIEDを見える化
効率的なエネルギー使用の改善と高品質の電力供給の保証が電力業界での成功の大きな原動力であることから、変電所のスイッチギアと変圧器を監視およびコントロールするインテリジェント電子装置=Intelligent electrical devices(IED)のリアルタイム監視が不可欠になりました。特に変電所では、すべてのIEDとサブシステムからデータを収集して統合し、デバイス監視のためのプラットフォームとして機能できる強力でセキュアなコントロールシステムへの自動化が進んでいます。従って、監視コントロールおよびデータ収集(SCADA)システムのパフォーマンスは、データを送受信する機能だけでなく、ネットワーク内のすべてのIEDおよびその他のネットワーク機器のステータスを正常に監視する機能にも依存します。
MMSの登場
単一通信およびネットワーキングパラダイムを使用することによりネットワークマネージメントが簡素化されるため、IEC 61850対応の変電所においてIPネットワーキングにMMSプロトコルを採用することが増えてきました。産業用イーサネットスイッチや組み込みコンピュータなどのITデバイスは、MMSを介して通信する変電所の機器の一例です。それらは、SCADAシステムによって監視およびコントロールされます。
しかし、変電所のすべての機器の中において、数多く使われているレガシーのIEDはMMSをサポートしていません。レガシーデバイスまたはシリアルデバイスは多くの変電所の基礎をなすものであり、単にそれらをリプレースするにはあまりにも高価になることは周知の事実です。シリアルデバイスサーバは、過去10年ほどの間に、これらのレガシーのIEDをイーサネットベースのネットワークに統合するため、変電所のシステムインテグレータにとって大きな救いとなっています。逆に、これらのIEDの寿命を、大した額になることなく延長することができるということです。しかし、シリアルデバイスサーバはシリアルデバイスとイーサネットネットワークの間のブリッジの役割を果たしますが、多くはMMSをサポートしていません。
挑戦的なシナリオ
変電所オートメーションシステム内には、2つの課題が存在します。最初の課題として、エンジニアはネットワーキング機器とIEDオペレーションに必要な2つの別々のネットワークを運用する必要があります。SNMPはネットワークマネージメントシステム(NMS)で最も一般的に使用されるプロトコルであり、一方、SCADAシステムはModbusやMMSなどのプロトコルを使用して電力オペレーションを監視します。これにより、セットアップコストと複雑さが増します。さらに、レガシーのIEDをネットワークに接続する機器(シリアルデバイスサーバ)がSNMPをサポートするかどうかに関わらず、限られた監視属性しか提供できません。つまり、ネットワークエラーが発生すると、限られた情報のみが収集されます。
第2の課題は、ダウンタイムが発生するとあらゆる種類の問題を引き起こすため、ネットワーク情報(シリアルとイーサネットの両方)の欠如を克服することです。特に、複雑なネットワークのトラブルシューティングの問題により、システムのダウンタイムが長くなります。デバイスマネージメントネットワークを統合しないと、問題が発生したときに、変電所のエンジニアがすばやく問題を特定することは難しく、トラブルシューティングのコストと通常のオペレーションを再開するための労力が増加します。
見えないものから見えるものへ
多くのシリアルデバイスサーバはMMSをサポートしていないので、IEC 61850対応のシステムに簡単に統合できないため、ネットワークのシリアル側も見えるようにするソリューションが求められています。 シリアルデバイスの可視性により、トラブルシューティングが容易かつ迅速になります。理想的には、IEC 61850 MMSをサポートするシリアルデバイスサーバにより、パワーSCADAシステムがネットワークのシリアル側を監視およびコントロールできるようになります。ネットワーク内のすべてのシリアルデバイスのステータスを知ることにより、エンジニアはネットワークのどこに問題があるかをすばやく特定することができます。
Moxaのソリューション
MoxaのNPort S9000シリーズは、IEC 61850 MMSをサポートする最初のシリアルデバイスサーバであり、パワーSCADAシステムがデバイスサーバを監視およびコントロールすることができます。従って、変電所の自動化のためのより優れたオプションを提供します。